(1) ためます又は油分離装置にたまつた危険物は,あふれないように随時くみ上げること。
(2) 危険物又は危険物のくず,かす等を廃棄する場合には,それらの性質に応じ,安全な場所において,他に危害又は損害を及ぼすおそれのない方法により行うこと。
(3) 危険物を貯蔵し,又は取り扱う場所では,当該危険物の性質に応じ,遮光又は換気を行うこと。
(4) 危険物は,温度計,湿度計,圧力計その他の計器を監視して,当該危険物の性質に応じた適正な温度,湿度又は圧力を保つように貯蔵し,又は取り扱うこと。
(5) 危険物を貯蔵し,又は取り扱う場合においては,危険物の変質,異物の混入等により,当該危険物の危険性が増大しないように必要な措置を講ずること。
(6) 危険物が残存し,又は残存しているおそれがある設備,機械器具,容器等を修理する場合は,安全な場所において,危険物を完全に除去した後に行うこと。
(7) 可燃性の液体,蒸気若しくはガスが漏れ,若しくは滞留するおそれのある場所又は可燃性の微粉が著しく浮遊するおそれのある場所では,電線と電気器具とを完全に接続し,かつ,火花を発する機械器具,工具,履物等を使用しないこと。
(8) 危険物を保護液中に保存する場合は,当該危険物が保護液から露出しないようにすること。
(9) 接触又は混合により発火するおそれのある危険物と危険物その他の物品は,相互に近接して置かないこと。ただし,接触し,又は混合しないような措置を講じた場合は,この限りでない。
(10) 危険物を加熱し,又は乾燥する場合は,危険物の温度が局部的に上昇しない方法で行うこと。
(11) 危険物を詰め替える場合は,防火上安全な場所で行うこと。
(12) 吹付塗装作業は,防火上有効な隔壁で区画された場所等安全な場所で行うこと。
(13) 焼入れ作業は,危険物が危険な温度に達しないようにして行うこと。
(14) 染色又は洗浄の作業は,可燃性の蒸気の換気を良くして行うとともに,廃液をみだりに放置しないで安全に処置すること。
(15) バーナーを使用する場合においては,バーナーの逆火を防ぎ,かつ,危険物があふれないようにすること。
(16) 危険物を容器に収納し,又は詰め替える場合は,次によること。
ア 固体の危険物にあつては危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号。以下「危険物規則」という。)別表第3,液体の危険物にあつては危険物規則別表第3の2の危険物の類別及び危険等級の別の項に掲げる危険物について,これらの表において適応するものとされる内装容器(内装容器の容器の種類の項が空欄のものにあつては,外装容器)又はこれと同等以上であると認められる容器(以下この号において「内装容器等」という。)に適合する容器に収納し,又は詰め替えるとともに,温度変化等により危険物が漏れないように容器を密封して収納すること。
イ アの内装容器等には,見やすい箇所に危険物規則第39条の3第2項から第6項までの規定の例による表示をすること。
(17) 危険物を収納した容器を積み重ねて貯蔵する場合には,高さ3メートル(第4類の危険物のうち第3石油類及び第4石油類を収納した容器のみを積み重ねる場合にあつては,4メートル)を超えて積み重ねないこと。
(18) 少量危険物を貯蔵し,又は取り扱う場所においては,係員以外の者をみだりに出入りさせないこと。
2 少量危険物を貯蔵し,又は取り扱う場所の位置,構造及び設備のすべてに共通する技術上の基準は,次のとおりとする。
(1) 危険物を貯蔵し,又は取り扱う場所には,見やすい箇所に危険物を貯蔵し,又は取り扱つている旨を表示した標識(危険物を貯蔵し,又は取り扱うタンクのうち車両に固定されたタンク(以下「移動タンク」という。)にあつては,0.3メートル平方の地が黒色の板に黄色の反射塗料その他反射性を有する材料で「危」と表示した標識)並びに危険物の類,品名及び最大数量並びに移動タンク以外の場所にあつては防火に関し必要な事項を掲示した掲示板を設けること。
(2) 危険物を取り扱う機械器具その他の設備は,危険物の漏れ,あふれ又は飛散を防止することができる構造とすること。ただし,当該設備に危険物の漏れ,あふれ又は飛散による災害を防止するための附帯設備を設けたときは,この限りでない。
(3) 危険物を加熱し,若しくは冷却する設備又は危険物の取扱いに伴つて温度の変化が起こる設備には,温度測定装置を設けること。
(4) 危険物を加熱し,又は乾燥する設備は,直火を用いない構造とすること。ただし,当該設備が防火上安全な場所に設けられているとき,又は当該設備に火災を防止するための附帯設備を設けたときは,この限りでない。
(5) 危険物を加圧する設備又はその取り扱う危険物の圧力が上昇するおそれのある設備には,圧力計及び有効な安全装置を設けること。
(6) 引火性の熱媒体を使用する設備にあつては,その各部分を熱媒体又はその蒸気が漏れない構造とするとともに,当該設備に設ける安全装置は,熱媒体又はその蒸気を火災予防上安全な場所に導く構造とすること。
(7) 電気設備は,電気工作物に係る法令の規定の例によること。
(8) 危険物を取り扱うに当たつて静電気が発生するおそれのある設備には,当該設備に蓄積される静電気を有効に除去する装置を設けること。
(9) 危険物を取り扱う配管は,次によること。
ア 配管は,その設置される条件及び使用される状況に照らして十分な強度を有するものとし,かつ,当該配管に係る最大常用圧力の1.5倍以上の圧力で水圧試験(水以外の不燃性の液体又は不燃性の気体を用いて行う試験を含む。)を行つた場合において漏洩えいその他の異常がないものであること。
イ 配管は,取り扱う危険物により容易に劣化するおそれのないものであること。
ウ 配管は,火災等による熱によつて容易に変形するおそれのないものであること。ただし,当該配管が地下その他の火災等による熱により悪影響を受けるおそれのない場所に設置される場合にあつては,この限りでない。
エ 配管には,外面の腐食を防止するための措置を講ずること。ただし,当該配管が設置される条件の下で腐食するおそれのないものである場合にあつては,この限りでない。
オ 配管を地下に設置する場合には,配管の接合部分(溶接その他危険物の漏洩えいのおそれがないと認められる方法により接合されたものを除く。)について当該接合部分からの危険物の漏洩えいを点検することができる措置を講ずること。
カ 配管を地下に設置する場合には,その上部の地盤面にかかる重量が当該配管にかからないように保護すること。
(屋外の施設の基準)
第31条の4 少量危険物を屋外において架台で貯蔵する場合には,高さ6メートルを超えて危険物を収納した容器を貯蔵してはならない。
2 少量危険物を屋外において貯蔵し,又は取り扱う場所の位置,構造及び設備の技術上の基準は,次のとおりとする。
(1) 危険物を貯蔵し,又は取り扱う屋外の場所(移動タンクを除く。)の周囲には,次の表の左欄に掲げる貯蔵又は取扱いの区分に応じ,同表の右欄に定める幅の空地を保有するか,又は防火上有効な塀を設けること。ただし,開口部のない防火構造(建築基準法第2条第8号に規定する防火構造をいう。以下同じ。)の壁又は不燃材料で造つた壁に面するときは,この限りでない。
貯蔵又は取扱いの区分
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空地の幅
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タンク又は金属製容器による場合
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1メートル以上
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その他の場合
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2メートル以上
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(2) 危険物を貯蔵し,又は取り扱う場所は,湿潤でなく,かつ,排水のよい場所であること。
(3) 液状の危険物を取り扱う設備(タンクを除く。)には,その直下の地盤面の周囲に囲いを設け,又は危険物の流出防止にこれと同等以上の効果があると認められる措置を講ずるとともに,当該地盤面は,コンクリートその他危険物が浸透しない材料で覆い,かつ,適当な傾斜及びためます又は油分離装置を設けること。
(4) 危険物を収納した容器を架台で貯蔵する場合には,架台は不燃材料で堅固に造ること。
(屋内の施設の基準)
第31条の4の2 少量危険物を屋内において貯蔵し,又は取り扱う場所の位置,構造及び設備の技術上の基準は,次のとおりとする。
(1) 壁,柱,床及び天井は,不燃材料で造られ,又は覆われたものであること。
(2) 窓及び出入口には,防火設備を設けること。ただし,防火上支障がないと認められる部分については,この限りでない。
(3) 液状の危険物を貯蔵し,又は取り扱う床は,危険物が浸透しない構造とするとともに,適当な傾斜をつけ,かつ,ためますを設けること。
(4) 架台を設ける場合は,架台は不燃材料で堅固に造ること。
(5) 危険物を貯蔵し,又は取り扱うために必要な採光,照明及び換気の設備を設けること。
(6) 可燃性の蒸気又は微粉が滞留するおそれのある場合は,その蒸気又は微粉を屋外の高所に排出する設備を設けること。
(タンク共通の基準)
第31条の5 少量危険物を貯蔵し,又は取り扱うタンク(地盤面下に埋没されているタンク(以下「地下タンク」という。)及び移動タンクを除く。以下この条において同じ。)に危険物を収納する場合は,当該タンクの容量を超えてはならない。
2 少量危険物を貯蔵し,又は取り扱うタンクの位置,構造及び設備の技術上の基準は,次のとおりとする。
(1) 次の表の左欄に掲げるタンクの容量に応じ,同表の右欄に定める板厚を有する鋼板又はこれと同等以上の機械的性質を有する材料で気密に造るとともに,圧力タンク以外のタンクにあつては水張試験において,圧力タンクにあつては最大常用圧力の1.5倍の圧力で10分間行う水圧試験において,それぞれ漏れ,又は変形しないものであること。ただし,第11条の2第1項第5号に規定する加工液タンク及び固体の危険物を貯蔵し,又は取り扱うタンクにあつては,この限りでない。
タンクの容量
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板厚
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40リットル以下
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1.0ミリメートル以上
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40リットルを超え100リットル以下
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1.2ミリメートル以上
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100リットルを超え250リットル以下
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1.6ミリメートル以上
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250リットルを超え500リットル以下
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2.0ミリメートル以上
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500リットルを超え1,000リットル以下
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2.3ミリメートル以上
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1,000リットルを超え2,000リットル以下
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2.6ミリメートル以上
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2,000リットルを超えるもの
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3.2ミリメートル以上
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(2) 地震等により容易に転倒し,又は落下しないように設けるとともに,架台は不燃材料で堅固に造ること。
(3) 外面には,さび止めのための措置を講ずること。ただし,アルミニウム合金,ステンレス鋼その他さびにくい材質で造られたタンクにあつては,この限りでない。
(4) 圧力タンクにあつては有効な,かつ,雨水の浸入しない構造の安全装置を,圧力タンク以外のタンクにあつては有効な,かつ,雨水の浸入しない構造の通気管又は通気口を設けること。
(5) 引火点が40度未満の危険物を貯蔵し,又は取り扱う圧力タンク以外のタンクにあつては,通気管又は通気口に引火を防止するための措置を講ずること。
(6) 見やすい位置に危険物の量を自動的に表示する装置(ガラス管等を用いるものを除く。)を設けること。
(7) 注入口及び通気管又は通気口は,火災予防上支障のない場所に設けるとともに,当該注入口には弁又はふたを設けること。
(8) タンクの配管には,タンク直近の容易に操作できる位置に開閉弁を設けること。
(9) タンクの配管は,地震等により当該配管とタンクとの結合部分に損傷を与えないように設置すること。
(10) 液体の危険物のタンクの周囲には,危険物が漏れた場合にその流出を防止するための有効な措置を講ずること。
(11) 屋外に設置するタンクで,その底板を地盤面に接して設けるものにあつては,底板の外面の腐食を防止するための措置を講ずること。
(12) 第31条の4第2項第1号ただし書に規定するときのタンク又は屋内に設置するタンクにあつては,当該タンクの周囲に点検作業に必要な間隔を保有すること。
(地下タンクの基準)
第31条の6 少量危険物を貯蔵し,又は取り扱う地下タンクに危険物を収納する場合は,当該タンクの容量を超えてはならない。
2 少量危険物を貯蔵し,又は取り扱う地下タンクの位置,構造及び設備の技術上の基準は,前条第2項第3号から第5号まで及び第7号の規定の例によるほか,次のとおりとする。(1) 地盤面下に設けられたコンクリート造等のタンク室に設置し,又は危険物の漏れを防止することができる構造により地盤面下に設置すること。ただし,第4類の危険物のタンクで,その外面がエポキシ樹脂,ウレタンエラストマー樹脂,強化プラスチック又はこれらと同等以上の防食性を有する材料により有効に保護されている場合又は腐食し難い材質で造られている場合にあつては,この限りでない。
(2) 自動車等による上部からの荷重を受けるおそれのあるタンクにあつては,当該タンクに直接荷重がかからないようにふたを設けること。
(3) タンクは,堅固な基礎の上に固定されていること。
(4) タンクは,厚さ3.2ミリメートル以上の鋼板又はこれと同等以上の強度を有する金属板若しくはこれと同等以上の性能を有するガラス繊維強化プラスチックで気密に造るとともに,圧力タンク以外のタンクにあつては70キロパスカルの圧力で,圧力タンクにあつては最大常用圧力の1.5倍の圧力で,それぞれ10分間行う水圧試験において,漏れ,又は変形しないものであること。
(5) 危険物の量を自動的に表示する装置又は計量口を設けること。この場合において,計量口を設けるタンクについては,計量口の直下のタンクの底板にその損傷を防止するための措置を講ずること。
(6) タンクの配管は,当該タンクの頂部に取り付けること。
(7) タンクの周囲に2箇所以上の管を設けること等により当該タンクからの液体の危険物の漏れを検知する設備を設けること。
(移動タンクの基準)
第31条の7 少量危険物を貯蔵し,又は取り扱う移動タンクにおける危険物の貯蔵及び取扱いの技術上の基準は,第31条の5第1項の規定の例によるほか,次のとおりとする。
(1) タンクから危険物を貯蔵し,又は取り扱う他のタンクに液体の危険物を注入するときは,当該他のタンクの注入口にタンクの注入ホースを緊結するか,又は注入ホースの先端部に手動開閉装置を備えた注入ノズル(手動開閉装置を開放の状態で固定する装置を備えたものを除く。)により注入すること。
(2) タンクから液体の危険物を容器に詰め替えないこと。ただし,安全な注油に支障がない範囲の注油速度で前号に定める注入ノズルにより引火点が40度以上の第4類の危険物を容器に詰め替える場合は,この限りでない。
(3) 静電気による災害が発生するおそれのある液体の危険物をタンクに入れ,又はタンクから出すときは,当該タンクを有効に接地すること。
(4) 静電気による災害が発生するおそれのある液体の危険物をタンクにその上部から注入するときは,注入管を用いるとともに,当該注入管の先端をタンクの底部に着けること。
2 少量危険物を貯蔵し,又は取り扱う移動タンクの位置,構造及び設備の技術上の基準は,第31条の5第2項第3号の規定の例によるほか,次のとおりとする。
(1) 火災予防上安全な場所に常置すること。
(2) タンクは,厚さ3.2ミリメートル以上の鋼板又はこれと同等以上の機械的性質を有する材料で気密に造るとともに,圧力タンク以外のタンクにあつては70キロパスカルの圧力で,圧力タンクにあつては最大常用圧力の1.5倍の圧力で,それぞれ10分間行う水圧試験において,漏れ,又は変形しないものであること。
(3) タンクは,Uボルト等で車両のシャーシフレーム又はこれに相当する部分に強固に固定すること。
(4) 常用圧力が20キロパスカル以下のタンクにあつては20キロパスカルを超え24キロパスカル以下の範囲の圧力で,常用圧力が20キロパスカルを超えるタンクにあつては常用圧力の1.1倍以下の圧力で作動する安全装置を設けること。
(5) タンクは,その内部に4,000リットル以下ごとに完全な間仕切を厚さ3.2ミリメートル以上の鋼板又はこれと同等以上の機械的性質を有する材料で設けること。
(6) 前号の間仕切により仕切られた部分には,それぞれマンホール及び第4号に規定する安全装置を設けるとともに,当該間仕切により仕切られた部分の容量が2,000リットル以上のものにあつては,厚さ1.6ミリメートル以上の鋼板又はこれと同等以上の機械的性質を有する材料で造られた防波板を設けること。
(7) マンホール及び注入口のふたは,厚さ3.2ミリメートル以上の鋼板又はこれと同等以上の機械的性質を有する材料で造ること。
(8) マンホール,注入口,安全装置等の附属装置がその上部に突出しているタンクには,当該タンクの転倒等による当該附属装置の損傷を防止するための防護枠を設けること。
(9) タンクの下部に排出口を設ける場合は,当該タンクの排出口に,非常の場合に直ちに閉鎖することができる弁等を設けるとともに,その直近にその旨を表示し,かつ,外部からの衝撃による当該弁等の損傷を防止するための措置を講ずること。
(10) タンクの配管は,先端部に弁等を設けること。
(11) タンク及び附属装置の電気設備で,可燃性の蒸気が滞留するおそれのある場所に設けるものは,可燃性の蒸気に引火しない構造とすること。